楽天市場やAmazon、Yahoo!ショッピングなどの大手仮想ショッピングモール

大手仮想ショッピングモールは通販カートシステムやクレジットカード決済、コンビニ払いなど、多くの決済方法を持っています。通販を行うにあたって、一番の問題は料金回収。それを代行して行ってもらえるのはとても安心です。

また、ショッピングモール自体に集客機能があるため、モール内部での検索でヒット(検索される)可能性も増えます。広告宣伝費をかけられず、集客力が弱いけれど、良いものを売っている小規模店舗にはうれしいところです。

通販の流れは下図のようになります。

  1. 仮想ショッピングモールに対して出店料を支払います。
  2. お客様が通販ショップから購入します。
  3. お客様は配送料などを含む購入料金を支払います。銀行振込の場合は直接ショップへ、クレジットカードやコンビニ払い、キャリア決済などを使用している場合はショッピングモールに対して支払いを行います。
  4. 通販ショップは受注の連絡を受けて、お客様へ商品を配送します。
  5. ショッピングモールから通販ショップへ定期的に「販売代金に応じた手数料」を差し引いた売上が入金、または手数料が請求されます。

大手仮想ショッピングモールのデメリットといえば、出店料や手数料です。1と5の出店料や手数料ですが、それぞれ下記のようになっています。


Amazon

Yahoo!ショッピング

楽天市場
初期費用0円0円
60,000円(税抜)

出店料

0~4,900円(月額/税抜)
0円
19,500~100,000円(月額/税抜)
手数料8~15%*0円**2~7%***

2019年1月15日時点での費用

*:この他に小口販売の場合は基本成約料¥100がかかります。また、販売する商品のカテゴリーが本・ミュージック・ビデオ・DVDの場合、カテゴリー成約料(80~140円)がかかります。 詳しくはAmazon出品サービス 料金プランをご確認ください。
**:この他にTポイント原資負担として2.5~16.5%(2.5%は必須)
、 アフィリエイトパートナー報酬原資 1%~50%(1%は必須)、アフィリエイト手数料 アフィリエイトパートナー報酬原資の30%が必要となります。詳しくはYahoo!ショッピングの料金・費用をご確認ください。
***:この他にシステムサービス利用料金と決済サービス利用料金がかかります。 詳しくは楽天市場の出店プランと費用をご確認ください。

Yahoo!ショッピングはすべてが無料で安く見えますが、お客様のTポイント還元の原資などを出資しなければなりませんので、すべてが無料というわけではありません。
AmazonとYahoo!ショッピングは、単価の低いものを、少数売るという条件であれば、初心者の方には良いと思います。

楽天はとても高いと思われますが、集客力はピカ一。また、売れるショップになるための教育体制などもしっかりしていることが他のショッピングモールと大きく異なります。
通販システムとしても、カスタマイズ項目が多く、自社の製造・販売体制に沿った通販を作り上げることができます。

大手仮想ショッピングモールのランニングコストはどのくらいになるのか?

ここでは例として、1,000円の商品(インテリア雑貨)を月間100個1年間販売する場合と、10,000円の商品を月間20個1年間販売する場合を考えてみましょう。
それぞれの場合とも、PC経由の購入とスマホ・タブレット経由での購入は50%ずつ、アフィリエイト経由の売り上げが月間5個、アフィリエイトパートナーへの成功報酬は5%、配送料は一律800円とします。
また、決済方法は全売上ともショッピングモールの決済システムを使用したとします。

下記の計算は四捨五入や筆者の解釈違いで間違いがあるかもしれません。お気づきになった方はぜひお知らせください。<(_ _)>

1,000円の商品を
月間100個(年間総売上120万円、1,800円は配送料を含む)
10,000円の商品を
月間20個
(年間総売上240万円
、10,800円は配送料を含む )
楽天市場
(がんばれ!プラン)
初期費用:60,000円
月額出店料:
19,500円×12ヶ月=234,000円
システム利用料(PC経由):
1,800円×50個×12ヶ月×6.5%=70,200円
システム利用料(
スマホ・タブレット 経由):

1,800円×50個×12ヶ月×7.0%=75,600円
楽天スーパーポイント負担分:
1,800円×100個×12ヶ月×0.1%=2,160円
モールにおける取引の安全性・利便性向上のためのシステム利用料:
1,800円×100個×12ヶ月×0.1%=2,160円
楽天スーパーアフィリエイトパートナーへの成果報酬 :
1,800円×5個×12ヶ月×5.0%=5,400円
楽天スーパーアフィリエイト システム利用料:
5,400円(楽天スーパーアフィリエイトパートナーへの成果報酬)×30%=
1,620円
R-Chat利用料:
3,000円×12ヶ月=36,000円
楽天ペイ使用料:
1,800円×100個×12ヶ月×3.5%=75,600円

合計 558,420円(税込:603,094円)
初期費用:60,000円
月額出店料:
19,500円×12ヶ月=234,000円
システム利用料(PC経由):
10,800円×10個×12ヶ月×6.5%=84,240円
システム利用料(
スマホ・タブレット 経由):

10,800円×10個×12ヶ月×7.0%=90,720円
楽天スーパーポイント負担分:
10,800円×20個×12ヶ月×0.1%=2,592円
モールにおける取引の安全性・利便性向上のためのシステム利用料:
10,800円×20個×12ヶ月×0.1%=2,592円
楽天スーパーアフィリエイトパートナーへの成果報酬 :
10,800円×5個×12ヶ月×5.0%=32,400円
楽天スーパーアフィリエイト システム利用料:
32,400円(楽天スーパーアフィリエイトパートナーへの成果報酬)×30%=9,720円
R-Chat利用料:
3,000円×12ヶ月=36,000円
楽天ペイ使用料:
10,800円×20個×12ヶ月×3.5%=90,720円

合計 616,584円(税込:665,911円)
Amazon(小口出品
基本成約料:
100個×12ヶ月×100円=120,000円
販売手数料:
1,800円×100個×12ヶ月×15%=324,000円

合計 444,000円(税込:479,520円)
基本成約料:
20個×12ヶ月×100円=24,000円
販売手数料:
10,800円×20個×12ヶ月×15%=388,800円

合計 412,800円(税込:445,824円)
Amazon(大口出品)
月額登録料:
4,900円×12ヶ月=58,800円
販売手数料:
1,800円×100個×12ヶ月×15%=324,000円

合計 382,800円(税込:413,424円)
月額登録料:
4,900円×12ヶ月=58,800円
販売手数料:
10,800円×20個×12ヶ月×15%=388,800円

合計 447,600円(税込:483,408円)
Yahoo!ショッピングストアポイント:
1,800円×1.08×100個×12ヶ月×1%=23,328円
ボーナスポイント充当分:
1,800円×1.08×100個×12ヶ月×1.5%=34,992円
アフィリエイトパートナー報酬原資:
1,800円×5個×12ヶ月×5%=5,400円
アフィリエイト手数料:
5,400円(
アフィリエイトパートナー報酬原資 )×30%=1,620円
決済手数料(すべてクレジットカード払いとしています):
1,800円×1.08×100個×12ヶ月×3.24%=75,582円

合計 140,922円(税込)
ストアポイント:
10,800円×1.08×20個×12ヶ月×1%=27,994円
ボーナスポイント充当分:
10,800円×1.08×20個×12ヶ月×1.5%=41,990円
アフィリエイトパートナー報酬原資:
10,800円×5個×12ヶ月×5%=32,400円
アフィリエイト手数料:
32,400円(
アフィリエイトパートナー報酬原資 )×30%=9,720円
決済手数料(すべてクレジットカード払いとしています):
10,800円×1.08×20個×12ヶ月×3.24%=90,699円

合計 225,483円(税込)

今回は初めて通販を行う方がイメージしやすいように、月商額を低く設定しています。
ランニングコストだけで比較すると、Yahoo!ショッピングはとても魅力的に見えますが、よく利用するECサイトは「Amazon」が75%、「楽天市場」は53%、ヤフーは28%(「2018年版:スマートフォン利用者実態調査」:MMD研究所調査)という結果もあります。
また、前述していますが、楽天市場は売れるショップになるための教育体制がしっかりしていることも魅力の一つです。

商品登録という点から考えると、楽天市場とYahoo!ショッピング は「一つ一つの商品に対してセールスレター的な説明」が求められます。売っていこうと思うと、きちんとした作り込みが必要です。
一方、Amazonは商品写真と簡単な商品説明だけが登録できると考えておいた方が良いでしょう。Amazonを見て、情報が少ないなと感じたことがあるかもしれませんが、あれが精一杯の情報なのです。
自社商品の良さをアピールしたいのであれば、楽天市場かYahoo!ショッピング、小売商品であればAmazonでという選択も考えられます。

どこが良いですか?とよく聞かれますが、商材や月商によって一概にどこが良いとは言えないのです。自社通販サイトを構築する前に、ショッピングモールに出店してどのくらい売れるのかを実験してみても良いかもしれません。

プロフィール

荒岩 理津子
荒岩 理津子株式会社アールジャパン 代表取締役
株式会社東芝にてソフトウェア開発11年、サスペンションメーカーの広報6年、国立大学情報システムセンター非常勤職員、個人事業主を経て、2016年9月に株式会社アールジャパンとして法人化。WordPressに特化したWEBシステムの開発に携わる。Microsoft Visual Basic®のプログラミングに関する著書が9冊、そのうち一部は国立図書館に寄贈されている。色彩検定1級、Shoplifyパートナー。趣味は手芸一般。編み物歴、洋裁歴は四半世紀以上。神奈川県中小企業家同友会 広報委員会副委員長・編集長。