※アイキャッチ画像は生成AIに「生成AIのイメージを画像にして」と入力して生成された画像です。

生成AIとは

今さら説明はいらないかもしれませんが、生成AIとはAI(Artificial Intelligence:人工知能)の一種で、学習したデータから新しいコンテンツを作り出すことができる技術のことです。
実は1950年代からある技術で、ここ数年で爆発的に普及しています。

一般的に生成AIで作成できるものは、文章、写真やイラストといった画像、映像、楽曲、プログラムなど。世界中のWEBサイトでこんなものもあるのか!というくらい生成AIのサービスは増えてきています。

生成AIにできる限り自分の望むものを生成させるには、プロンプトと呼ばれる何を生成してほしいかを表す入力がとても重要です。
詳しくは私が執筆した「特集 AI(人工知能)生成AIは質問が9割 結果を引き出すポイントとは」をご覧ください。

生成AIで作ったテキストに違和感を感じる

最近、ゲームをしていると挟まれる広告に「生成AIを使って記事を書き、儲ける方法」というものが出てきています。
生成AIが普及するとこういった「儲け技」的なものが出回るだろうと予測していましたが、出るわ出るわ…

実は前述の特集AIを執筆した際に、「約800字を生成AIに書いてもらいました」というようにしようと担当者で話していました。しかし、ボツにしました。

なぜなら、内容が薄く、中小企業の経営者向けの機関誌なのに技術的な用語だらけの「は?何言ってんの?」的な内容だったからです。

生成AIで作ったのになぜ内容が薄くなったのか?

これは理由は明白で、中小企業でどのように生成AIが使えるのかを書いたWEBサイトの記事がないからです。

もう少しひも解いていきましょう。
生成AIは入力された質問を単語などに区切り、ある期間までのWEBサイトの学習データと照らし合わせて、結果を表示します。

特集記事を書いたのは2023年11月初旬。
ChatGPTの場合、Ver.3.5は2021年9月まで、Ver.4.0は2023年4月までのデータで学習を行っています。
このため、無料版のChatGPT Ver.3.5であれば2021年9月までのことしか知りません。まだ生成AIで世の中が盛り上がっていない時の学習データで、最新技術の「生成AIと中小企業」のことを生成させても作れるわけがありません。

これはVer.4.0を使用しても多少新しい学習データにはなっていますが、生成AIであっても「知らないことは知らない」のです。
だから、記事を生成AIに書かせようとしても、最新の技術については書いてくれません。

ちなみにChatGPTのVer.3.5とVer.4.0で生成されるテキストを比較すると、書いているテーマにもよりますが、Ver.4.0の方が表現が豊かになり、質問の解釈もより正確であるように思えます。(個人的な感想です。)

生成AIの記事はターゲットによっては共感を呼ばない

生成AIで小説も書けるのに…と思うかもしれませんが、これは生成AIにターゲットは誰かを指定していれば、ある程度共感を呼ぶ文章を作成できます。
車の部品の説明を生成AIに書かせてみると次のようになります。

ホイールエクステンダーとは何ですか?と質問
左の文章に対し、
50代の車好きな男性向けにしてと質問
同様に30代の女性向けに書きなおしてもらった

左のターゲットを決めずに質問をすると、よほどの車好きではないとわからない用語が多用されています。読んでいても、「ふーん」になるどころか「ちょ、何言ってんのかわからない」状態です。
50代の車好きな男性向けの方が読んでいて「なるほど」感があります。ただし、車好き=車に乗ることが好きという解釈が入っているように思えます。車いじりが好きな50代には物足りないかもしれません。

同様に30代の女性向けに書きなおしてもらうと、アライメントの説明があるなど、女性は車のことにあまり詳しくないという解釈をしています。
また、「よりスムーズな運転」や「おしゃれで機能的」なものをすすめるなど、女性受けしやすい文章になっています。

しかし、この3つの例、何か表面的なことの説明をしているように思いませんか?辞書的な説明でもう一歩踏み込んでいない、概要はわかるけれど詳細が見えない。そんな感じの文章です。
もしかしたら、もっとターゲットに対する情報を与え、どのようなことを書いて欲しいと考えているのかの条件を与え、文章の表現方法も指定すればより良い回答は引き出せると思います。
私の実験では、詳細を引き出そうとしても、生成させることが難しいと感じています。それは、書き手が感じた感情を生成AIではまだ、書けないということなのでしょう。

生成AIにレジュメを作ってもらうとどうなるか

上述している特集記事を書く時、担当の一人が生成AIでレジュメを作ってもらっていました。ところが、楽だと思って始めたことが、かえって文章を書けなくなる原因になりました。

生成AIに目次を作ってもらうと、歴史や開発背景、学習はどのように行われるのかなど、論文の見出しのようなレジュメが生成されました。担当者は最初の段落を書いた後、どうやって中小企業の経営者向けにこれらのレジュメの通り書けばよいのか迷いはじめ、最終的には書けないという状態になりました。

広く浅く説明をしようと思えば、生成されたレジュメの通りに書いても問題はありません。しかし、できあがった文章はおそらくWikipediaの文章のようになるのではないかと思います。

生成AIでまるっと作成した記事はオススメできません

生成AIは優秀で、ある程度の下書きを作ってもらうには良いツールだと思います。私も利用しますし、おおまかな記事の方向性を作るのには本当に便利なツールです。しかし、そのまま、まるっと全部載せるのはどうかな?と思います。
文章は書いている人の感情や個性がでるもの、生成AIには現在のところ、感情や個性はありません。
これから十数年たてば、もっと感情表現の豊かな生成AIができるかもしれません。それであっても、全部コピペで済むのかと言えば、私はやはり人間の表現力の方が豊かであると思います。
そして、下手でも上手でも個性がある文章だからこそ、その会社、担当者を表す人間味のある楽しい文章になるのだと考えています。

文章が書けずに困ったら、生成AIととことん話し合い、生成されたものに対し、自分の考えを入れて書き直してみてください。

プロフィール

荒岩 理津子
荒岩 理津子株式会社アールジャパン 代表取締役
株式会社東芝にてソフトウェア開発11年、サスペンションメーカーの広報6年、国立大学情報システムセンター非常勤職員、個人事業主を経て、2016年9月に株式会社アールジャパンとして法人化。WordPressに特化したWEBシステムの開発に携わる。Microsoft Visual Basic®のプログラミングに関する著書が9冊、そのうち一部は国立図書館に寄贈されている。色彩検定1級、Shoplifyパートナー。趣味は手芸一般。編み物歴、洋裁歴は四半世紀以上。神奈川県中小企業家同友会 広報委員会副委員長・編集長。